「早く死ぬ人には、何か共通する特徴があるのだろうか」「寿命が短い人の生活習慣には、どのような傾向があるのか」。こうした疑問を考えるうえで重要なのは、年齢や体質だけでなく、喫煙、飲酒、食生活、運動不足など、健康に影響する要因を科学的なデータから理解することです。
厚生労働省が公表した2025年の簡易生命表では、日本人の平均寿命は男性81.35歳、女性87.33歳となっています。また、2026年6月には国立がん研究センターが「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」を刷新し、飲酒や体重管理に関する推奨も見直しました。これらの公的資料や研究をもとに、早死にのリスク要因、長生きする人との違い、今日から取り組める予防策を詳しく解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:早く死ぬ人に共通する傾向はあるものの、生活習慣だけで個人の寿命が決まるわけではない。
- 要点2:喫煙、過度の飲酒、身体活動不足、偏った食生活、極端な体重などは、病気や死亡のリスクに関係する。
- 要点3:2026年のがん予防指針では、飲酒を控えることや適切な体重の維持などが推奨されている。
【2026年最新統計】日本人の平均寿命は男性81.35歳・女性87.33歳
「早く死ぬ人」の特徴を考える前に、日本人の寿命に関する公的統計を確認しておきましょう。平均寿命は、ある年の死亡状況が今後も続くと仮定した場合に、0歳の人が平均して何年生きると見込まれるかを示す指標です。
厚生労働省の2025年簡易生命表によると、男女別の平均寿命は次のとおりです。2025年の死亡状況を基礎に算出され、2026年に公表された統計です。
- 男性:81.35歳
- 女性:87.33歳
女性の平均寿命は男性より約6年長くなっています。ただし、これは男女それぞれの集団について算出した統計値であり、個人がその年齢まで生きることを保証するものではありません。生活習慣のほか、遺伝的要因、病気、事故、社会環境、医療へのアクセスなども寿命に影響します。
また、平均寿命が長いことと、健康な状態で長く生活できることは同じではありません。そこで注目したいのが「健康寿命」です。
厚生労働省が公表している最新の健康寿命の算出値は2022年分で、男性72.57年、女性75.45年です。同じ2022年の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳でした。両者には男性で約8.5年、女性で約11.6年の差があります。
健康寿命とは、健康上の問題によって日常生活が制限されずに過ごせる期間の平均です。つまり、寿命を考える際には、単に長く生きることだけでなく、自立して生活できる期間を延ばすことも大切です。
【早く死ぬ人に共通点はある?】寿命が短くなるリスクと特徴を検証
早く死ぬ人に共通する傾向を一言で表すなら、長期的に病気のリスクを高める要因が複数重なっている状態です。ただし、これは医学的なリスクの説明であり、特定の性格や外見から寿命を予測できるという意味ではありません。
国立がん研究センターなどが蓄積してきた日本人を対象とする疫学研究では、喫煙、飲酒、食習慣、身体活動、体重などと、がんや循環器疾患をはじめとする健康上のリスクとの関連が検討されています。生活習慣の改善によって、これらの病気の一部を予防できる可能性があります。
具体的には、次のような傾向に注意が必要です。
- 喫煙を続けている:がんや心臓・血管の病気、呼吸器疾患などのリスクが高まる。
- 飲酒量が多い:飲酒に関連するがんや肝臓の病気などのリスクが高まる。
- 日常的に体を動かさない:身体活動不足が続くと、生活習慣病や死亡のリスク上昇に関係する。
- 食生活が偏っている:塩分の取りすぎや野菜・果物の不足などが健康上の問題につながる。
- 体重が極端に少ない、または多い:低体重や肥満は、特定の病気や死亡リスクとの関連が報告されている。
- 健康上の問題を放置する:高血圧や糖尿病などのリスクに気づかず、必要な検査や治療が遅れる可能性がある。
これらは、それぞれ独立した要因であると同時に、互いに影響し合う場合もあります。例えば、運動不足と食生活の乱れが重なれば、体重や血圧、血糖値などに影響する可能性があります。
一方で、健康に気を配っている人が必ず長生きするわけでもありません。遺伝的な体質、加齢、感染症、予測できない事故など、自分の努力だけでは避けられない要因もあります。早死にのリスクを考えるときは、個人の特徴を決めつけるのではなく、改善できる要因に目を向けることが現実的です。
【科学的根拠で比較】喫煙・飲酒・運動不足は寿命にどう影響する?
寿命に関わる生活習慣のなかでも、特に根拠が蓄積しているのが喫煙、飲酒、身体活動です。それぞれの影響は同じではなく、リスクが高まる病気や、予防のために取るべき行動も異なります。
| 要因 | 主な健康リスク | 予防のポイント |
|---|---|---|
| 喫煙 | 肺がんなどのがん、心血管疾患、呼吸器疾患 | 禁煙し、受動喫煙も避ける |
| 飲酒 | 飲酒に関連するがん、肝疾患など | 飲酒を控え、飲まない選択も検討する |
| 運動不足 | 生活習慣病や死亡リスクの上昇との関連 | 歩行や家事など、日常の身体活動を増やす |
| 食生活の乱れ | 高血圧、循環器疾患、特定のがんなど | 減塩し、野菜や果物を取り入れる |
| 極端な体重 | 低体重や肥満に関連する健康リスク | 年齢や体調に応じて適切な体重を保つ |
この比較で重要なのは、ひとつの習慣だけで寿命を説明できないことです。また、各要因のリスクは、年齢、体質、持病、生活環境などによって異なります。
喫煙が寿命に与える影響
喫煙は、がんや心臓・血管の病気など、複数の重大な疾患と関係する代表的なリスク要因です。国立がん研究センターのがん情報サービスでは、禁煙による健康上のメリットは年齢を問わず得られると説明しています。
同サービスが紹介する資料では、喫煙を続けた場合と比べ、30歳頃に禁煙すると寿命が約10年、40歳頃なら約9年、50歳頃なら約6年、60歳頃なら約3年長くなるという推計が示されています。これは集団データに基づく目安であり、すべての人に同じ年数の効果が現れるという意味ではありません。
禁煙の効果は、長期間たってからしか現れないわけでもありません。禁煙後には血圧や血液循環などに好ましい変化が生じ、時間の経過とともに心血管疾患や一部のがんのリスクも低下します。過去に長く吸っていた人でも、禁煙を検討する価値があります。
飲酒と死亡リスクの関係
飲酒の影響は、飲む量だけでなく、飲酒頻度、年齢、性別、体質などによっても変わります。飲酒は口腔、咽頭、食道、肝臓、大腸、乳房などのがんのリスク上昇と関連しており、飲酒量が増えるほどリスクが高まることが知られています。
2026年2月には日本癌学会も、飲酒とがんの科学的根拠について情報を整理し、少量であっても一部のがんのリスクが高まることや、すべての人に共通する安全な飲酒量を断定できないことを説明しています。健康上の理由で飲酒しない人が、健康のために飲み始める必要はありません。
特に注意したいのは、飲酒量を把握せずに習慣化してしまうことです。アルコール飲料の容量だけでは、実際に摂取したアルコール量は比較できません。飲酒する場合は純アルコール量を確認し、飲酒を控える日を設けるなど、自分の飲み方を見直すことが役立ちます。
運動不足と死亡リスク
運動不足は、心肺機能や筋力の低下だけでなく、生活習慣病などの発症リスクにも関係します。ただし、健康維持に必要なのは、必ずしも激しいスポーツではありません。歩行、通勤、掃除、買い物といった日常生活の活動も、身体活動に含まれます。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人について、歩行または同等以上の強度の身体活動を1日60分以上、歩数にすると約8,000歩以上を目安として示しています。また、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上行うことや、筋力トレーニングを週2〜3日行うことも推奨しています。これらは一般的な目安であり、体力や健康状態に応じた調整が必要です。
普段ほとんど運動しない人は、いきなり目標歩数を達成しようとするよりも、今より10分多く歩く、長時間座り続けないようにする、といった小さな変化から始めると取り組みやすくなります。
【食生活・BMI・体重】寿命が短い人の生活習慣で見直したいポイント
食生活と寿命の関係を考える際には、特定の食品だけを食べれば長生きできるという発想よりも、食事全体のバランスを整えることが重要です。日本人を対象とする研究では、塩分や塩辛い食品の取りすぎ、野菜や果物の不足、非常に熱い飲食物を取る習慣などが、特定のがんのリスクと関連することが示されています。
例えば、塩分を控えることは、高血圧や脳卒中、心臓病の予防につながります。国立がん研究センターの予防情報では、成人の目標量として、食塩摂取量を男性1日7.5g未満、女性6.5g未満にすることや、野菜350g、果物200g程度を目安に取ることが紹介されています。
実践する際は、麺類の汁を飲み干さない、調味料をかけすぎない、野菜を使った副菜を増やすなど、日常の食事で継続できる方法を選びましょう。熱いスープや飲み物は、少し冷ましてから口にすることも予防策のひとつです。
BMIが高い人だけでなく、低い人にも注意が必要
BMIは、体重(kg)を身長(m)の二乗で割って算出する指標です。体重を簡単に評価できる一方、筋肉量や脂肪の分布、体重が変化した経緯までは分かりません。
国立がん研究センターが紹介する日本人の大規模コホート研究の統合解析では、中高年の日本人について、全死亡リスクが低いBMIの範囲はおおむね21〜27と報告されています。一方、がん予防の観点では、2026年に刷新された指針が男女ともBMI21〜25を推奨範囲として示しています。両者は評価する健康アウトカムが異なるため、同じ基準として扱わないことが大切です。
また、体重が少ないことを一律に健康的と考えるのも適切ではありません。低体重には、栄養不足や筋肉量の低下、病気による意図しない体重減少などが関係することがあります。反対に、肥満は糖尿病や循環器疾患などのリスクと関係します。
特に、食事量や運動量を変えていないのに体重が急に減った場合は、単なる体質や年齢のせいだと決めつけず、医療機関に相談してください。体重の数字だけで健康状態を判断するのではなく、血圧、血糖値、血中脂質、筋力、体重の推移なども合わせて確認することが大切です。
【2026年の最新指針】国立がん研究センターが示す「5+1」の予防法
2026年6月3日、国立がん研究センターは「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」を刷新しました。日本人を対象とする研究成果などを踏まえ、がんの予防に関係する5つの生活習慣と、感染への対策を整理したものです。特に今回の更新では、飲酒と体重に関する推奨が見直されました。
「5+1」の内容は、次の6項目です。
- たばこ:吸わないことを基本とし、他人のたばこの煙も避ける。
- お酒:飲酒を控える。飲まない人は無理に飲み始めない。
- 食生活:減塩し、野菜や果物の不足を避け、熱い飲食物は冷ましてから取る。
- 身体活動:日常生活を活動的に過ごす。
- 体重:BMIを適切な範囲に保つ。
- 感染:肝炎ウイルスなどの検査、必要な治療や予防接種を受ける。
この指針で注目したいのが、飲酒について、従来の「節酒する」から「飲酒をひかえる」へと推奨が変更された点です。少量の飲酒でも一部のがんのリスクが上昇することが示されたため、がん予防では飲まないことが最善と説明されています。
体重についても、男性のBMIの推奨上限が27から25に変更され、男女ともBMI21〜25の範囲が推奨されるようになりました。ただし、これはがん予防に関する指針です。年齢、持病、筋肉量、栄養状態などを無視して、すべての人が一律に同じ体重を目指すという意味ではありません。
また、感染対策も忘れてはいけません。肝炎ウイルスの検査や治療、ヘリコバクター・ピロリの感染に応じた対応、対象者へのHPVワクチン接種などは、生活習慣とは別の側面からがんのリスクを減らすための手段です。
国立がん研究センターの情報では、5つの健康習慣を実践する人は、0〜1つしか実践しない人と比べ、がんになるリスクが男性で43%、女性で37%低くなるという推計も紹介されています。これは集団を対象とした推計であり、個人の発症を確実に防げるという数字ではありません。それでも、複数の予防策を組み合わせる意義を示す結果です。
【今日からできる予防策】早死にのリスクを減らす行動と判断基準
早死にのリスクを減らすために必要なのは、完璧な生活を一度に実現することではありません。健康への影響が大きい習慣から優先順位をつけ、無理なく続けられる行動に変えていくことです。
まず取り組みたい5つの行動
- 禁煙する:自力での禁煙が難しい場合は、禁煙外来などの支援を検討する。
- 飲酒を見直す:飲酒量と頻度を把握し、飲まない日を設ける。がん予防の観点では、飲酒を控える選択も検討する。
- 体を動かす:短い散歩や階段の利用など、日常の活動量を少しずつ増やす。
- 食事を整える:減塩し、野菜や果物を取り入れ、極端な食事制限を避ける。
- 健康状態を確認する:健診を活用し、血圧、血糖値、脂質、体重の変化などを把握する。
優先順位を決めるときは、自分の生活で最も改善しやすいことと、医学的に見過ごせない問題を分けて考えるとよいでしょう。例えば、喫煙している人は禁煙を優先し、高血圧や糖尿病を指摘されている人は、食事や運動の改善に加えて医師の指示に沿った治療を続けることが重要です。
すでに持病がある人や、体力が低下している人は、一般的な運動目標を無理に達成しようとする必要はありません。安全に取り組める活動量について医師や専門職に相談し、自分の状態に合わせて調整してください。
健診結果の放置や、急な体調変化にも注意
生活習慣の改善と同じくらい大切なのが、病気の兆候を見逃さないことです。健診で異常を指摘された場合は、症状がないからといって放置せず、必要な再検査や受診につなげましょう。
意図しない体重減少、長引く咳、血便、原因不明の出血、続く強い倦怠感などがある場合は、早めに医療機関に相談してください。胸の強い痛み、突然の片側の麻痺、言葉が出にくいといった症状がある場合は、緊急の医療対応が必要になることがあります。
健康寿命を延ばすためには、生活習慣だけですべてを解決しようとするのではなく、予防、健診、適切な治療を組み合わせることが現実的です。
【早く死ぬ人】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:早く死ぬ人には、科学的に共通する特徴がありますか?
A1:喫煙、過度の飲酒、身体活動不足、偏った食生活など、病気や死亡リスクの上昇と関連する要因はあります。ただし、こうした要因があるからといって、その人が必ず早く亡くなるわけではありません。遺伝、年齢、持病、社会環境なども影響します。
Q2:早死にを防ぐために、最も優先したい生活習慣は何ですか?
A2:喫煙している人は禁煙を優先し、飲酒量や身体活動、食生活も見直しましょう。健診で異常を指摘されている場合は、必要な検査や治療を受けることも大切です。何を優先すべきかは、現在の健康状態や生活習慣によって異なります。
Q3:BMIが低い人は、寿命が短くなりやすいのでしょうか?
A3:低体重は、栄養不足や筋肉量の低下、病気による体重減少などと関係することがあり、日本人の研究でも低いBMIと死亡リスクの上昇との関連が報告されています。ただし、BMIだけでは健康状態を判断できません。急な体重減少や食欲低下がある場合は医療機関に相談してください。
まとめ:寿命を決めつけず、変えられるリスクから減らそう
早く死ぬ人には、喫煙、過度の飲酒、運動不足、食生活の乱れなど、病気のリスクを高める要因が複数重なっている場合があります。しかし、寿命は生活習慣だけで決まるものではなく、特定の性格や外見から個人の寿命を予測することもできません。
2025年の厚生労働省の簡易生命表では、日本人の平均寿命は男性81.35歳、女性87.33歳です。一方、健康寿命の最新算出値である2022年分では、男性72.57年、女性75.45年となっています。長く生きることだけでなく、健康を保ち、自分らしく生活できる期間を延ばすことが大切です。
2026年に更新された国立がん研究センターのがん予防指針も、禁煙、飲酒を控えること、適切な食生活、身体活動、体重管理、感染対策を重視しています。まずは禁煙や日々の歩行、減塩、健診結果の確認など、自分にできることから始めてみてください。将来の寿命を断定することはできなくても、健康上のリスクを減らすためにできることはあります。 (出典: 早く 死ぬ 人(Yahoo!ニュース))