母親の機嫌が悪くなると、家の空気が一変する。何気ないひと言で怒鳴られたり、理由がわからないまま責められたりする。そんな家庭で育つと、子どもは自分の気持ちよりも、母親の顔色をうかがうことを優先するようになる場合があります。
ヒステリックな母親に育てられた子には、自己肯定感の低さ、過剰な気遣い、失敗への強い恐怖、人間関係での生きづらさなどが見られることがあります。ただし、すべての人に同じ影響が現れるわけではなく、幼少期の家庭環境だけで将来の性格が決まるわけでもありません。2026年現在の公的資料や心理的支援の考え方を踏まえ、母親の言動が子どもの心に与える影響、成人後に残りやすい悩み、親との距離の取り方、回復に向けた具体的な方法を整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 子どもに見られる傾向:母親の顔色をうかがう、自己否定が強い、怒られることを過度に恐れるなどの反応が現れることがある。
- 大人になってからの影響:人に合わせすぎる、断れない、失敗を許せないなどの生きづらさにつながる場合がある。
- 回復のためにできること:自分を責める習慣を見直し、境界線を設け、安心できる人間関係や専門家の支援を活用する。
【特徴を解説】ヒステリックな母親にはどのような傾向があるのか
「ヒステリックな母親」という言葉は、医学的な診断名ではありません。日常会話では、感情の起伏が激しい、突然怒鳴る、怒りをコントロールできないように見えるなど、周囲が対応に困る言動を繰り返す親を指して使われます。
大切なのは、母親が感情的になること自体と、子どもを継続的に恐怖や不安にさらすことを区別することです。疲労やストレスから一時的に感情的になることは誰にでもあります。しかし、怒りを使って子どもを支配したり、人格を否定したりする行動が繰り返される場合は、子どもの心への影響を考える必要があります。
1.些細な出来事で突然怒り出す
宿題を忘れた、食器を片づけなかった、返事が遅れたといった出来事に対し、必要以上に激しく怒る傾向です。子どもが何をすれば怒られるのか予測できないと、家庭の中で常に緊張して過ごすようになることがあります。
特に負担が大きいのは、同じ行動でも母親の機嫌によって反応が変わる場合です。昨日は許されたことが今日は激しく叱られると、子どもは行動の基準ではなく、母親の感情を判断基準にせざるを得なくなります。
2.怒鳴る、人格を否定する、過去の失敗を蒸し返す
行動を注意するのではなく、子どもの存在そのものを否定する言葉を繰り返すことも、深刻な問題です。失敗のたびに能力や価値を否定されたり、過去の失敗を何度も持ち出されたりすると、子どもは「自分は何をしても認めてもらえない」と感じやすくなります。
こども家庭庁が示す児童虐待の定義では、言葉による脅しや無視、きょうだい間の著しい差別的扱い、子どもの目の前で家族に暴力を振るうことなどが心理的虐待に含まれます。怒鳴る行為がすべて一律に虐待と判定されるわけではありませんが、著しい暴言や威圧、拒絶が繰り返される状況は軽視できません。
3.自分の感情を子どもに処理させる
母親が不機嫌になった理由を子どもに説明せず、子どもが機嫌を取ることを当然のように求めるケースもあります。親の悩みを聞くこと自体が問題なのではありません。子どもが親の感情の責任を負わされ、自分の生活や気持ちを後回しにしなければならないことが問題です。
例えば、母親が落ち込むたびに子どもが慰め役になったり、母親の期待どおりに振る舞わないと冷たい人間だと責められたりする状況です。こうした関係が続くと、子どもは「自分が母親を幸せにしなければならない」という役割を背負うことがあります。
4.怒った後に何事もなかったように振る舞う
激しく怒鳴った後に謝罪や説明がないまま普段どおりに接する、あるいは優しくなった後に再び怒り出す。こうした対応が繰り返されると、子どもは安心して気持ちを整理する機会を失いやすくなります。
親が怒った後に優しく接してくれることは、子どもにとって救いになる場合もあります。しかし、同じ行為が繰り返され、怒りの原因や責任が曖昧なままなら、子どもは「次にいつ怒られるのか」という不安から離れにくくなります。
なお、母親の言動の背景には、育児負担、経済的不安、心身の不調、本人の生育歴など、さまざまな要因が関係する可能性があります。背景を理解することと、子どもを傷つける行為を正当化することは別です。
【子どもの特徴】母親の顔色をうかがう子に起こりやすい変化
ヒステリックな母親に育てられた子が、必ずしも外から見てわかりやすく苦しんでいるとは限りません。むしろ、学校や職場では「気が利く」「真面目」「手がかからない」と評価される人もいます。その一方で、本人は失敗や対立を過度に恐れ、安心して過ごすことが難しい場合があります。
1.母親の表情や声の調子に敏感になる
ドアを閉める音、足音、ため息、声の大きさなどから、親の機嫌を読み取ろうとする傾向です。怒りが突然向けられる家庭では、危険を避けるために周囲の変化を素早く察知することが、子どもなりの適応方法になる場合があります。
この反応が家庭の外でも続くと、友人や恋人、上司の表情が少し変わっただけで「何か悪いことをしたのではないか」と考え、必要以上に相手の機嫌を気にすることがあります。
2.自己否定が強く、自分の判断を信じられない
親から繰り返し否定されると、自分の感情や考えを信頼することが難しくなる場合があります。褒められても素直に受け取れず、失敗すると必要以上に自分を責める。「自分が悪い」「もっと頑張らなければ」と考え続けることも、その一例です。
自己肯定感が低い原因は一つではありません。家庭環境のほか、学校や職場での経験、人間関係、本人の気質なども関係します。ただし、幼少期から「あなたが悪い」「あなたのせいで怒っている」と繰り返し伝えられてきた場合、自分を責める考え方が身につきやすくなることは考えられます。
3.人に頼れず、何でも自分で解決しようとする
困っていることを親に相談しても怒られる、弱音を吐くと否定されるといった経験が続くと、助けを求めること自体に不安を感じるようになる場合があります。
その結果、体調が悪くても無理をする、仕事を抱え込みすぎる、他人に迷惑をかけることを極端に恐れるなどの行動につながることがあります。周囲からは自立しているように見えても、本人にとっては「誰にも頼れない」という苦しさを伴っているかもしれません。
4.怒りや悲しみを表現できず、感情を抑え込む
自分の気持ちを表現すると怒られる家庭では、怒りや悲しみを感じないようにしたり、相手に合わせて振る舞ったりすることがあります。自分が何を嫌だと感じているのか、何を望んでいるのかさえ、わかりにくくなる人もいます。
反対に、普段は感情を抑えているものの、限界を超えると強い怒りや涙が一気にあふれる人もいます。どちらも同じ環境で育った人に必ず起こる反応ではありませんが、感情を安全に表現できなかった経験との関係を振り返る価値はあります。
5.完璧主義になり、失敗を過剰に恐れる
小さな失敗にも厳しく叱られる環境では、「失敗しないこと」が自分を守る手段になる場合があります。仕事や勉強で高い成果を出していても、少しのミスを許せず、休むことに罪悪感を抱く人もいます。
また、他人の期待を満たせなければ見捨てられると感じ、必要以上に頑張ってしまうこともあります。努力そのものが悪いのではなく、失敗した自分にも価値があると感じられないことが、苦しさの中心になっている場合があります。
こうした特徴は、あくまで振り返りの手がかりです。いくつか当てはまるからといって、必ず母親の言動が原因だと断定できるわけではありません。また、当てはまらないからといって、過去のつらい経験がなかったことになるわけでもありません。
【心への影響】母親の怒鳴り声によるトラウマと成人後の生きづらさ
幼少期の家庭環境が性格や対人関係に影響する仕組みを理解するうえで、重要なのは「子どもは安心できる環境で学び、成長する」という視点です。家庭が予測できない緊張の場になっていると、子どもは学習や遊び、人との交流よりも、危険を避けることを優先する場合があります。
怒鳴り声を聞くだけで体が緊張するのはなぜか
強い恐怖を伴う経験を繰り返すと、似た状況に遭遇したときに、意識する前から体が反応することがあります。大きな声を聞いて心臓が速くなる、責められると頭が真っ白になる、相手の怒りを感じるとその場から逃げたくなる、といった反応です。
これは、過去の経験から危険を予測し、自分を守ろうとする反応として理解できる場合があります。母親の怒鳴り声が怖かった人が、大人になってから上司の叱責やパートナーの不機嫌に強い恐怖を感じることもあります。
ただし、怒鳴り声に苦痛を感じることと、医学的な意味でのトラウマ関連疾患と診断されることは同じではありません。症状の程度や生活への影響は個人差が大きく、必要に応じて専門家による評価を受けることが大切です。
毒親に育てられた大人の特徴と人間関係の問題
「毒親」は、子どもの心身や生活に有害な影響を及ぼす親を表す俗語です。診断名ではなく、使う人によって意味が異なるため、親をこの言葉で分類することだけでは問題の全体像はわかりません。
成人後に生きづらさを感じる人には、次のような悩みが見られる場合があります。
- 相手に嫌われることを恐れ、断りたい場面でも断れない。
- 少し注意されただけで、自分のすべてを否定されたように感じる。
- 親密な関係になると、相手に見捨てられる不安が強くなる。
- 他人の機嫌を取ることに疲れているのに、やめられない。
- 自分の希望よりも、相手が何を求めているかを優先してしまう。
- 親に会った後、強い疲労感や罪悪感、不安が残る。
これらは、幼い頃に身につけた対処方法が、大人になってからも続いている状態として理解できることがあります。かつては親の怒りを避けるために役立った気遣いが、現在の職場や恋愛関係では過剰な負担になることもあるのです。
アダルトチルドレンという言葉をどう理解するか
アダルトチルドレンは、機能不全の家庭環境で育った人が成人後も抱える生きづらさを説明する際に使われる言葉です。現在の医療診断名と同一視することはできません。
この言葉が役立つのは、自分の対人関係や行動のパターンを振り返るきっかけになる点です。一方で、「自分はアダルトチルドレンだから変われない」と決めつけると、かえって可能性を狭めてしまいます。重要なのはラベルを確定させることではなく、今の生活で何に困り、どのような支援が必要なのかを見つけることです。
公的データが示す心理的虐待の現状
こども家庭庁が2026年1月時点で公表した令和6年度の資料によると、全国の児童相談所における児童虐待相談対応件数は22万3,691件でした。このうち、心理的虐待に係る対応件数は13万3,024件で、全体の59.5%を占めています。
ここでいう相談対応件数は、児童相談所が相談を受け、援助方針会議などを経て児童虐待と判断し、指導や措置などを行った件数です。ヒステリックな母親の人数や、怒鳴り声によるトラウマを抱えた人の数を直接示す統計ではありません。それでも、心理的虐待が児童相談所の対応において大きな割合を占めていることは、子どもの心を傷つける行為を家庭内の問題だけとして片づけられないことを示しています。
親の言動と子どもの反応を整理すると、次のように考えられます。これは診断表ではなく、本人が自分の状態を振り返るための目安です。
| 家庭で経験したこと | 子どもに現れることがある反応 | 大人になってからの課題と対応の方向性 |
|---|---|---|
| 突然怒鳴られる、機嫌が予測できない | 顔色をうかがう、周囲の変化に敏感になる | 相手の感情と自分の責任を区別する |
| 人格を否定される、失敗を厳しく責められる | 自己否定、完璧主義、失敗への恐怖 | 事実と自己評価を分け、失敗を必要以上に一般化しない |
| 気持ちを話すと怒られる、無視される | 感情を抑える、助けを求めにくくなる | 安心できる相手に自分の希望を伝える練習をする |
| 親の機嫌を取ることを求められる | 人に合わせすぎる、断れない | 相手の問題をすべて引き受けず、断る境界線を設ける |
| 強い威圧や恐怖が繰り返される | 緊張、不安、似た場面への強い恐怖 | 生活への影響が続く場合は専門家への相談を検討する |
幼少期の経験がその後の心身の健康に影響することは、世界保健機関(WHO)も指摘しています。一方で、影響は一律ではなく、安全な人間関係、適切な支援、生活環境の変化などによって回復を目指すこともできます。過去の家庭環境が、将来を決定するわけではありません。
【今も母親と暮らしている人へ】ヒステリックな母親への対処法
母親と同居している未成年者や、経済的な事情から親元を離れられない人にとって、「距離を置けばよい」という助言だけでは十分ではありません。まず考えたいのは、母親を変えることよりも、自分の安全を確保し、傷つく場面を減らすことです。
1.母親が怒っているときは、無理にわかってもらおうとしない
相手が激しく興奮しているときに、理屈で説明して理解を求めても、話し合いが成立しないことがあります。安全に離れられる状況なら、その場を離れる、会話をいったん中断する、落ち着いてから話すといった方法を検討してください。
「今は落ち着いて話せそうにないから、少し時間を置きたい」と伝えられる状況もあります。ただし、こうした発言でさらに怒りが強まる危険があるなら、無理に宣言する必要はありません。自分を守るために、返答を短くしたり、信頼できる人のいる場所へ移動したりすることを優先します。
2.母親の機嫌を自分の責任にしない
母親が不機嫌だからといって、必ずしも自分が何か悪いことをしたとは限りません。仕事の疲れ、生活上の問題、本人の感情の扱い方など、子どもにはコントロールできない要因もあります。
「私がもっと気をつければ怒られなかった」と考える習慣があるなら、何が起きたのかを事実ベースで整理してみてください。自分の行動に改善できる点があったとしても、相手が暴言や威圧を選んだ責任まで引き受ける必要はありません。
3.家庭の外に相談できる大人をつくる
家庭内で問題が起きているときほど、家族以外の人に状況を知ってもらうことが重要です。学校の先生、スクールカウンセラー、親戚、医療機関の職員など、安心して話せる相手を探してみてください。
未成年者で、怒鳴り声や暴言、脅しなどが繰り返されている場合は、児童相談所虐待対応ダイヤル「189」に相談できます。こども家庭庁によると、匿名での相談・通告も可能で、相談した人や内容に関する秘密は守られます。差し迫った危険がある場合は、警察への通報など緊急の安全確保を優先してください。
4.記録を残す場合は、安全を最優先する
何が起きたのかを後から整理するため、日時、言われたこと、困ったこと、その後の体調などを記録する方法もあります。出来事を言葉にすることで、自分が何に傷ついているのかを把握しやすくなる場合があります。
ただし、親に記録を見られることで危険が増す可能性があるなら、無理に残す必要はありません。記録すること自体を目的にせず、安全な場所で相談することを優先しましょう。
5.自分だけで母親を治そうとしない
母親に心身の不調や感情を調整する難しさがあったとしても、子どもが治療や改善の責任を負うわけではありません。母親の事情を理解しようとすることと、傷つく言動を我慢し続けることは別です。
親子関係を改善するには、母親自身が問題を認識し、言動を変える努力をすることも必要です。相手に変わる意思がない場合や、話し合いが危険につながる場合には、無理に関係修復を試みず、外部の支援を活用する選択肢があります。
【大人になってから】母親との適切な距離の取り方
成人後も母親と接するたびに疲れたり、罪悪感を抱いたりするなら、関係を続ける方法そのものを見直してもかまいません。親子だからといって、どのような言動も受け入れなければならないわけではありません。
1.自分が耐えられる接触の範囲を考える
まず、母親と接した後にどのような変化が起きるかを振り返ります。電話の後に何時間も落ち込むのか、会うたびに自分の判断を否定したくなるのか、私生活に過度に干渉されるのか。具体的な状況がわかると、必要な距離も考えやすくなります。
例えば、次のような調整が考えられます。
- 電話に出る時間帯を決め、長時間の通話を避ける。
- 訪問の頻度や滞在時間を減らす。
- 仕事、恋愛、お金など、話したくない話題には答えない。
- 暴言が始まったら通話を終了する。
- 必要な連絡は、可能であれば文章で行う。
すべてを一度に変える必要はありません。自分の生活や安全に合わせ、実行できる範囲から調整することが現実的です。
2.境界線は相手を支配するためではなく、自分を守るために設ける
母親との境界線とは、自分が何を受け入れ、何を受け入れないかを決めることです。相手に怒らないよう命令することではなく、暴言が続く場合には会話を終えるなど、自分が取る行動を決めておきます。
例えば、「その言い方をされると話を続けられないので、今日は電話を切ります」「その話題には答えません」といった短い表現があります。相手を納得させるために長く説明する必要はありません。
ただし、境界線を示したことで相手の怒りが強まる場合もあります。相手の反応が危険につながるなら、直接伝えることにこだわらず、連絡頻度の調整や第三者を介した連絡など、より安全な方法を検討してください。
3.連絡を減らすことと、絶縁することは同じではない
母親との関係を変える方法は、頻繁に会うか完全に絶縁するかの二択ではありません。連絡頻度を減らす、会う場所を限定する、第三者がいる場で会う、一定期間だけ連絡を休むなど、複数の選択肢があります。
どの方法が適切かは、暴言の程度、経済的な依存、住居、介護などの事情によって異なります。親からの援助が必要な場合は、住居や生活費、必要書類などを含めて計画を立てることが大切です。
一方、脅迫や暴力などによって安全が脅かされている場合は、関係を段階的に調整することよりも、安全な場所への避難や専門機関への相談が優先されます。
4.距離を置いた後の罪悪感に対処する
母親と距離を置くと、「親不孝ではないか」「自分が冷たい人間なのではないか」と悩む人もいます。特に、幼い頃から母親の機嫌を取る役割を担ってきた場合、自分を優先することに強い抵抗を感じることがあります。
そんなときは、罪悪感があることと、選択が間違っていることを分けて考えてみてください。慣れ親しんだ役割から離れると、不安や罪悪感が生じることがあります。それだけで、距離を置く判断が間違っているとは限りません。
母親への愛情や感謝が残っていても、傷つく関係から距離を取ることは可能です。大切なのは、周囲が考える理想の親子関係ではなく、自分が安全で落ち着いた生活を送れるかどうかです。
【回復への道筋】自己肯定感を育て、心の傷を癒やす方法
幼少期の家庭環境による影響から回復することは、過去の出来事を忘れることでも、母親を許すことでもありません。自分を責め続ける考え方を見直し、安心できる環境をつくり、今の自分に合った選択ができるようになることを目指します。
1.「自分が悪い」という考えを事実と分ける
母親に怒られるたびに自分を責めてきた人は、現在の人間関係でも、自動的に自分の責任を探してしまうことがあります。そのような考えが浮かんだら、すぐに正しいか間違いかを決めず、何が起きたのかを整理してみましょう。
例えば、職場で上司の機嫌が悪かったとき、「自分が何か失敗したのではないか」と考えたとします。その際には、実際に指摘されたことがあるのか、相手が不機嫌な理由を知っているのか、自分の推測にすぎないのかを区別します。
自分の責任がある場合は必要な改善を行い、そうでなければ相手の感情まで引き受けない。この区別を繰り返すことが、自己否定を和らげる一歩になります。
2.自分の感情や希望を小さなことから確認する
長い間、他人の希望を優先してきた人は、自分が何を望んでいるのかわかりにくくなっていることがあります。そこで、毎日の小さな選択から、自分の気持ちを確かめる練習をしてみてください。
- 本当は何を食べたいのかを考える。
- 疲れているときに、休みたいという気持ちを認める。
- 気が進まない誘いには、すぐに返事をせず考える時間を取る。
- 嫌だった出来事について、自分が何に傷ついたのかを言葉にする。
- できたことを小さくても認め、失敗だけで一日を評価しない。
これらは単なる気分転換ではありません。自分の感情を無視せず、自分の判断を少しずつ信頼するための練習です。最初から自信を持つ必要はなく、「自分にはこう感じる理由がある」と認めることから始められます。
3.安心できる人間関係を経験する
家庭の中で、怒られないように振る舞うことが当たり前になっていた人にとって、対等で安心できる関係は、最初は不思議に感じられることがあります。自分の意見を伝えても関係が壊れないこと、失敗しても人格を否定されないこと、断っても尊重されること。そうした経験は、人間関係に対する見方を変えるきっかけになります。
信頼できる友人、パートナー、職場の人、支援者など、安心して話せる相手との関係を大切にしましょう。ただし、すぐに人を信頼できなくても、自分を責める必要はありません。相手の言葉と行動が一致しているか、無理な要求をされていないかなどを、時間をかけて確かめてもよいのです。
4.つらさが続く場合は専門家の支援を利用する
母親との関係を思い出すと強い不安が生じる、眠れない、過去の場面が繰り返し浮かぶ、人間関係や仕事に支障が出ているといった場合は、心理職や精神科・心療内科などの専門家に相談する選択肢があります。
相談では、母親がどれほど悪い人だったかを証明する必要はありません。現在困っている症状や生活への影響、親と接した後に起きる変化などを伝えれば十分です。必要に応じて、認知行動療法を含む心理的支援や、トラウマに配慮した治療などが検討されます。どの方法が適しているかは、本人の症状や状況によって異なります。
また、相談したからといって、必ず母親との関係を修復しなければならないわけではありません。自分の心身を守りながら、これからどのような生活を送りたいのかを考えることも、支援を受ける目的の一つです。
5.親との関係を振り返るときは、無理に許そうとしない
回復の過程では、母親に対する怒りや悲しみが改めて浮かび上がることがあります。「もう大人なのだから気にしないようにしよう」「親も大変だったのだから許さなければ」と、自分の感情を急いで抑え込む必要はありません。
親にも事情があったと理解することと、親の行為を受け入れることは別です。また、親を許すことが回復の条件でもありません。怒りや悲しみが残っていても、自分の生活を整え、親との距離を調整し、安心できる関係を築いていくことはできます。
過去の経験を振り返る際は、つらい記憶に無理に向き合うのではなく、今の自分が耐えられる範囲で進めてください。記憶を詳しく思い出すこと自体が強い苦痛につながる場合は、専門家と相談しながら取り組む方法もあります。
【プロの結論】回復の基準は、母親が変わることではなく自分の生活が変わること
ヒステリックな母親に育てられた人が陥りやすい落とし穴の一つは、「母親に理解してもらえれば、自分の苦しさも解決するはずだ」と考え続けることです。親が自分の言動を認め、謝罪してくれれば救われると感じるのは自然なことです。しかし、相手が理解するかどうかは、自分だけでは決められません。
回復を考える際には、次の三つを判断基準にしてみてください。
- 安全性:母親と接することで、心身の安全や生活が脅かされていないか。
- 自分の意思:親の期待ではなく、自分の希望や価値観に基づいて選択できているか。
- 生活への影響:睡眠、仕事、人間関係、休息の時間が、親との関係によって過度に損なわれていないか。
母親が変わらなくても、自分の行動や生活環境を変える余地はあります。連絡頻度を調整する、自分の気持ちを言葉にする、助けを求める、専門家に相談する。こうした選択を積み重ねることで、母親の感情に振り回されない生活を目指せます。
【ヒステリックな母親に育てられた子】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ヒステリックな母親に育てられた子には、どのような特徴がありますか?
A1:母親の顔色をうかがう、自己否定が強い、失敗を過度に恐れる、人に合わせすぎる、自分の気持ちを表現しにくいなどの傾向が見られることがあります。ただし、すべての人に当てはまるわけではなく、こうした特徴だけで家庭環境や心の状態を断定することはできません。
Q2:母親の怒鳴り声が大人になっても怖いのはなぜですか?
A2:幼少期に怒鳴り声と強い恐怖を繰り返し経験すると、似た声や状況に接したときに、体が危険を予測して緊張する場合があります。上司やパートナーの大きな声に過敏に反応することもあります。日常生活に支障が出るほどつらい場合は、心理職や医療機関への相談を検討してください。
Q3:ヒステリックな母親とは、絶縁したほうがよいのでしょうか?
A3:必ずしも絶縁が唯一の方法ではありません。連絡頻度を減らす、会う時間を短くする、話題を限定するなど、段階的に距離を調整する方法もあります。一方、暴力や脅迫などで安全が脅かされている場合は、安全の確保を優先してください。経済的な事情や生活環境も考慮しながら、自分にとって無理のない方法を選ぶことが大切です。
まとめ:母親との関係に縛られず、自分らしい生活を取り戻すために
ヒステリックな母親に育てられた子には、顔色をうかがう、自己肯定感が低くなる、人間関係で過剰に気を遣うといった傾向が見られることがあります。こうした反応は、安心できない家庭環境の中で自分を守ろうとして身についた対処方法である場合もあります。
しかし、幼少期の経験だけで性格や将来が決まるわけではありません。自分を責める考え方を見直し、安心できる人間関係を築き、必要に応じて親との距離を調整することで、これからの生活を変えていくことは可能です。
親の気持ちを理解すること、親を許すこと、親と良好な関係を保つことは、どれも回復の必須条件ではありません。大切なのは、自分の感情や希望を尊重し、安心して暮らせる環境を整えることです。
もし今も母親の言動に苦しんでいるなら、すべてを一度に解決しようとしなくてもかまいません。今日できる小さな選択から始めてください。自分の気持ちを認めること、信頼できる人に話すこと、少し距離を置くこと。その一つひとつが、母親の機嫌ではなく、自分の意思を中心にした生活を取り戻すための一歩になります。 (出典: ヒステリック な 母親 に 育て られ た 子(Yahoo!ニュース))