映画の感動的なシーンを見ると涙があふれる。人から優しい言葉をかけられただけで泣きそうになる。仕事で注意されたり、誰かが悲しんでいる姿を見たりすると、気持ちを抑えられなくなる。こうした涙もろさに心当たりはないでしょうか。
涙もろい人には、感情の動きを細やかに受け取る傾向や、相手の立場を想像する力が見られることがあります。ただし、すぐ泣く理由は感受性や共感力だけではありません。疲労やストレス、置かれた状況、感情を調整する方法なども関係します。2026年には、日本の大学生を対象に、泣く場所の選択と性格特性の関係を調べた研究も公表されました。涙もろさを正しく理解するには、性格と心身の状態を分けて考えることが大切です。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 特徴:映画や人の言葉に心を動かされやすい人でも、必ずしも全員が共感力の高い性格とは限らない。
- 理由:感受性や記憶、ストレス、疲労、感情を調整する力など、複数の要因が涙の出やすさに関係する。
- 対処法:涙を無理に否定せず、呼吸や休息、伝え方を工夫する。急に涙が増え、生活にも支障が出ている場合は専門家への相談を検討する。
【涙もろい人の特徴】すぐ泣く人に見られる傾向と見分け方
涙もろい人とは、悲しい出来事だけでなく、うれしさや感動、緊張、安心など、感情が大きく動いたときに涙が出やすい人のことです。涙が出る頻度や場面は人によって異なり、同じ人でも体調や環境によって変化します。
まずは、涙もろい人に見られやすい傾向を整理してみましょう。
1.映画や音楽、物語に感情移入しやすい
映画の別れの場面、努力が報われる瞬間、音楽に込められた思いなどに強く反応するのは、涙もろい人によく見られる傾向です。登場人物の苦労や喜びを自分のことのように想像したり、物語の背景にある意味を考えたりすることで、感情が大きく動く場合があります。
悲しい場面だけでなく、長年の努力が実った瞬間や、家族が再会する場面で泣く人もいます。これは、涙が悲しみだけで生じる反応ではないためです。強い喜びや安堵、緊張からの解放も、涙につながることがあります。
2.人の言葉や表情に敏感に反応する
相手の声の調子、表情の変化、何気ない一言をよく覚えている人は、その言葉に含まれる意味を深く受け止めることがあります。励ましの言葉に救われて涙が出たり、厳しい指摘を受けて必要以上に落ち込んだりすることもあります。
ただし、言葉に敏感であることと、傷つきやすいことは同じではありません。相手の気持ちを丁寧に考える人もいれば、自分への評価を気にしやすい人もいます。似た反応に見えても、その内側にある心理は異なります。
3.他人の苦労や喜びを自分のことのように感じる
友人がつらい経験を話すと胸が苦しくなる、誰かが成功すると自分までうれしくなる。こうした反応には、相手の立場や感情を理解しようとする共感が関係している可能性があります。
一方で、相手の感情を強く受け止めるあまり、自分まで疲れてしまう場合もあります。共感することと、相手の感情をすべて引き受けることは別です。相手を大切にしながら、自分の心を守る境界線も必要になります。
4.緊張や怒り、悔しさでも涙が出る
涙もろい人の中には、悲しいときよりも、悔しいときや緊張しているときに涙が出る人もいます。会議で反論しようとしたとき、上司から注意されたとき、誤解を解こうとしたときなどです。
こうした涙は、必ずしも悲しみを意味しません。強い感情が重なり、言葉にする前に身体の反応として涙が出てしまうことがあります。「泣いているから悲しい」「涙が出たから反省していない」と決めつけると、本人の気持ちを誤解するおそれがあります。
5.涙を人前で見せる人も、ひとりでこらえる人もいる
涙もろさは、泣く頻度だけでは判断できません。感情が動いても人前では我慢する人もいれば、安心できる相手の前では自然に泣ける人もいます。
そのため、涙もろい人の見分け方として、表面的な印象だけに頼るのは適切ではありません。泣かない人が冷淡とは限らず、よく泣く人が精神的に弱いとも限らないのです。涙の出方と、その人の性格や人間性を切り離して考えることが大切です。
【なぜ涙が出る?】映画や人の言葉に反応する心理と理由
涙もろい理由を理解するには、何に反応しているのか、どのような状態で涙が出るのかを考える必要があります。感情による涙は、単純に悲しみの強さだけで決まるわけではありません。
理由1.感情を動かす情報を細かく受け取っている
同じ映画を見ても、涙が出る人と出ない人がいるのはなぜでしょうか。作品の内容を理解しているかどうかだけでなく、登場人物の表情や過去の経験、音楽、物語の展開をどのように受け止めるかが異なるためです。
たとえば、登場人物が誰にも言えなかった苦労を打ち明ける場面で、そこに至るまでの孤独や葛藤を想像すると、感情が大きく動くことがあります。自分自身の経験と重なる場合は、物語が過去の記憶を呼び起こし、さらに涙が出やすくなることもあります。
このような反応には、感受性や想像力が関係している可能性があります。ただし、涙が出ることだけを根拠に、その人の感受性が必ず強いと断定することはできません。
理由2.共感力が高く、他人の感情に影響されやすい
共感とは、相手が何を感じているのかを理解したり、その感情を自分なりに感じ取ったりすることです。相手の悲しみや喜びに反応して涙が出る場合、共感が関係していることがあります。
ただし、共感力が高い人は必ず涙もろい、という単純な関係ではありません。相手のつらさを理解していても涙が出ない人もいれば、自分自身の緊張や不安によって泣く人もいます。
共感力の高さを考える際には、泣くかどうかよりも、相手の話を聞けるか、相手の立場を想像できるか、必要な支援を考えられるかといった行動にも目を向ける必要があります。
理由3.緊張や感情が重なり、処理しきれなくなる
人は、悲しみだけでなく、怒り、悔しさ、うれしさ、安堵など複数の感情を同時に経験します。自分でも何を感じているのか整理できないとき、涙が先に出ることがあります。
たとえば、長い間我慢していた人が「もう無理をしなくていい」と言われたとき、安心した気持ちと、それまでの苦労を思い出す気持ちが同時に湧き上がることがあります。優しい言葉に泣いてしまうのは、言葉そのものだけでなく、それまで抱えていた感情が動いたためかもしれません。
この場合、涙は意志の弱さを示すものではありません。気持ちを整理する時間を確保し、何がつらかったのかを後から言葉にすることが役立ちます。
理由4.ストレスや疲労で感情を調整しにくくなっている
普段は我慢できるのに、疲れている日は些細なことで泣いてしまう。こうした変化には、睡眠不足や仕事の負担、人間関係の悩みなどが関係している可能性があります。
厚生労働省のメンタルヘルス情報でも、ストレスのサインの一つとして、ちょっとしたことで急に泣き出すことが挙げられています。気分の落ち込み、イライラ、睡眠や食欲の変化などが一緒に現れていないかを確認することも大切です。
もともとの性格が変わったように感じる場合でも、必ずしも性格そのものが変化したとは限りません。心身の疲れによって、感情を調整する余裕が少なくなっていることも考えられます。
理由5.過去の経験や大切にしている価値観が刺激される
ある人にとっては何気ない場面でも、別の人には強く心に残ることがあります。家族との思い出、過去に助けてもらった経験、失敗したときの悔しさなど、個人の記憶や価値観が反応に影響するためです。
たとえば、努力を認められる場面に弱い人は、自分が長い間評価されなかった経験を思い出しているのかもしれません。動物や子どもの映像に涙が出る人は、守りたいという気持ちや、失われることへの不安が動いている可能性もあります。
自分がどのような場面で泣きやすいかを知ると、涙の理由を理解しやすくなります。涙を止めることだけを目標にするのではなく、その感情が何を伝えているのかを考えることも有効です。
【2026年の研究から読み解く】涙もろさと感受性・共感力の実態
涙もろさを理解するうえでは、一般的な性格診断だけでなく、実際の研究から何が分かっているのかを確認することも重要です。涙に関する研究は進められていますが、涙の出やすさと性格、ストレスとの関係には、まだ一つの説明ですべてを整理できない部分があります。
2026年の宇都宮大学の研究が示した「泣く場所」の違い
宇都宮大学は2026年8月5日、大学生を対象とした研究について発表しました。宮代こずゑ助教らによる研究は、日常生活で経験する泣きを状況別に捉え、人前で泣く場合とひとりで泣く場合の違いを調べたものです。研究論文は2026年8月1日に学術誌「Acta Psychologica」のオンライン版で公開されました。
大学の発表によると、他者への思いやりや協力を重視する「調和性」が高い大学生ほど、悲しんでいる身近な人の前では泣かず、ひとりになってから泣く傾向が示されました。
この結果が示唆するのは、涙の表れ方が本人の感情だけで決まるわけではないということです。相手への配慮や、その場の人間関係も、涙を表に出すかどうかに関わる可能性があります。
ただし、この研究は大学生を対象とした特定の状況についての調査です。あらゆる年齢や場面にそのまま当てはめたり、調和性が高ければ必ずひとりで泣くと解釈したりすることはできません。
共感力と感情調整の関係も、単純ではない
2024年に「Psychological Bulletin」に掲載されたメタ分析では、子どもから青年期を対象とする58研究、75の効果量、合計25,831人のデータが検討されました。研究テーマは、感情調整と共感・同情の関連です。
分析では、感情調整と共感・同情をまとめた指標との間に全体として正の関連が確認されました。一方、測定上の重なりを考慮すると、同情との関連は認められたものの、共感との関連は明確ではありませんでした。
これは、感情を調整する力と他者への反応の関係が、測定方法や概念の定義によって異なることを示しています。また、この研究は涙もろさそのものを調べたものではありません。共感力が高い人ほど必ず泣く、と結論づける根拠にはならない点に注意が必要です。
感情による涙とストレス緩和の関係
日本の研究にも、感情による涙とストレスの関係を調べたものがあります。2015年に「ストレス科学研究」に掲載された研究では、健康な学生14人に暗算課題を行ってもらった後、感動的な映画の場面を見ることやタマネギを切ることなどによって涙を流す条件を比較しました。
その研究では、感動的な映画を見て涙を流した後に、疲労感の指標や心拍変動に基づく指標の低下が観察されました。一方、タマネギによる涙や休息では、同様の変化はほとんど見られませんでした。
ただし、参加者は14人と少なく、限られた実験条件での結果です。泣けば必ずストレスが解消される、涙もろい人ほどストレスに強い、といった一般化はできません。涙を流した後に気持ちが軽くなる人もいれば、かえって疲れる人もいます。
研究から分かることを比較
| 研究・公表時期 | 主な内容 | 読み解く際の注意点 |
|---|---|---|
| 宇都宮大学の研究発表(2026年8月) | 大学生の泣く状況と性格特性を分析。調和性が高い人ほど、悲しむ身近な人の前では泣かず、ひとりで泣く傾向が示された。 | 特定の対象・状況に関する結果であり、すべての人に当てはまるわけではない。 |
| 共感・感情調整のメタ分析(2024年) | 58研究、計25,831人を分析。感情調整と共感・同情の関連を検討した。 | 涙の出やすさを直接測定した研究ではなく、共感と同情の測定上の違いにも注意が必要。 |
| 感情性の涙とストレスの研究(2015年) | 健康な学生14人を対象とした実験で、感動的な映像による涙の後に疲労感などの指標が低下した。 | 小規模な実験であり、泣くことによるストレス緩和を誰にでも当てはめることはできない。 |
| 涙の臨床研究レビュー(2021年) | 感情による涙の研究を整理し、涙の個人差や心理・社会的な機能を理解する必要性を指摘した。 | 涙の働きには未解明の部分があり、単一の原因や効果に決めつけないことが大切。 |
これらの研究から考えられるのは、涙もろさを一つの性格特性だけで説明することは難しいという点です。感受性、共感、ストレス、状況に応じた感情調整は互いに関係し得ますが、それぞれ同じものではありません。
涙の回数だけで、その人の優しさ、精神的な強さ、共感力を評価することはできません。本人の経験や行動、普段の心身の状態を含めて理解する必要があります。
【涙もろい人の長所と短所】性格が人間関係にもたらす影響
涙もろい性格には、周囲との関係を築くうえでプラスに働く面もあれば、本人が困りやすい面もあります。大切なのは、涙もろさを長所か短所かの二択で決めず、どのような場面で役立ち、どのような場面で負担になるのかを考えることです。
長所1.相手の気持ちを想像し、寄り添える
他人の苦労や喜びに心を動かされる人は、相手がどのような経験をしているのかを考える機会が多いかもしれません。つらい状況にある人の話を丁寧に聞いたり、成功を一緒に喜んだりする姿勢は、人間関係の支えになります。
ただし、涙を流すこと自体が思いやりの証明になるわけではありません。相手の話を遮らずに聞く、必要な支援を尋ねる、本人の希望を尊重するといった行動が、共感を実際の助けにつなげます。
長所2.感動や喜びを深く味わえる
小さな親切や人の努力、芸術作品の表現などに心を動かされることは、日常の出来事を豊かに感じることにつながります。誰かの成長を喜んだり、物語から新たな視点を得たりすることもあるでしょう。
感情が動きやすいことを、必ずしも直すべき欠点と捉える必要はありません。涙が出ることそのものより、感情に振り回されて生活に支障が出ているかどうかを考えることが大切です。
長所3.自分や他人の気持ちに気づくきっかけになる
涙が出た場面を振り返ると、自分が大切にしている価値観や、我慢していた気持ちに気づくことがあります。何に感動したのか、どんな言葉がつらかったのかを整理すれば、自分の希望や限界を理解しやすくなります。
これは、涙を無理に抑えることとは違うアプローチです。感情を手がかりとして、自分が何を必要としているのかを考える方法です。
短所1.職場や人前で話しにくくなる
会議や面談で泣きそうになると、言いたいことがまとまらなくなったり、相手に誤解されたりすることがあります。本人は冷静に説明したいだけなのに、涙によって話の内容より感情の強さが目立ってしまう場合もあります。
このような困りごとには、事前に伝えたい内容をメモする、重要な話は時間に余裕のある場で行う、涙が出たときに短い休憩を申し出るなどの工夫が役立ちます。
短所2.相手の感情を抱え込み、疲れてしまう
人の悩みを聞くたびに自分まで深く落ち込む場合、他人の感情と自分の感情を切り分けることが難しくなっている可能性があります。助けたい気持ちが強いほど、相手の問題を自分の責任のように感じることもあります。
しかし、相手を思いやることと、相手の問題をすべて解決することは別です。話を聞く時間を区切る、自分にできる支援とできない支援を分ける、必要に応じて専門家や周囲の人につなぐといった対応も、思いやりの一部です。
短所3.涙が出る自分を責めてしまう
「大人なのに泣くのは恥ずかしい」「また泣いたら弱い人だと思われる」と考えると、涙そのものに対する不安が大きくなります。泣きそうになるたびに自分を責め、さらに緊張が高まるという悪循環に陥ることもあります。
泣くことを完全になくすのではなく、必要な場面で落ち着いて話せる方法を身につけることを目指しましょう。涙が出ても、伝えたい内容や自分の考えまで否定する必要はありません。
【涙もろさとストレス】注意したい心身のサインと相談の目安
涙もろさが以前から続いていて、特定の映画や感動的な場面で泣く程度なら、それだけで病気を疑う必要はありません。一方、以前と比べて急に涙が増えた場合や、理由が分からないまま頻繁に泣くようになった場合は、心身の状態を振り返ることが大切です。
ストレスがたまっているときに見られる変化
厚生労働省のメンタルヘルス情報では、ストレスのサインとして、急に泣き出すことのほか、気分の落ち込み、イライラ、人づきあいを避ける行動、睡眠や食欲の変化などが紹介されています。
特に、次のような変化が重なっている場合は、涙もろさだけに注目せず、心身全体の状態を確認しましょう。
- 以前よりも疲れやすく、休んでも回復しにくい。
- 寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝早く目が覚めてしまう。
- 食欲や体重が大きく変化している。
- 好きだった趣味を楽しめず、何をするにも意欲が湧かない。
- 人と会うのが負担になり、仕事や家事に支障が出ている。
- ちょっとしたことで泣いたり、イライラしたりすることが増えた。
これらの症状は、ストレスや疲労などさまざまな理由で起こり得ます。項目に当てはまるだけで特定の病気と判断することはできませんが、変化が続いているなら注意が必要です。
「涙もろい性格」と「心身の不調」を見分ける視点
判断の手がかりになるのは、涙の回数だけではなく、いつから変化したのか、何がきっかけなのか、生活への影響があるのかという点です。
以前から映画や人の話に感動しやすく、普段の生活も問題なく送れている場合と、ここ数週間で急に涙が増え、眠れず、仕事にも集中できなくなった場合とでは、考えるべきことが異なります。
厚生労働省の情報では、気分の落ち込みや興味・喜びの喪失など、うつ病に関連する症状が2週間以上続く場合は、専門家への相談が勧められています。涙だけで診断することはできませんが、気分の変化や睡眠、食欲、日常生活への影響が続いているなら、早めに医療機関へ相談してください。
また、涙の出方が急に変わった場合や、服薬の開始・変更、体調の変化と重なっている場合も、医師に状況を伝えるとよいでしょう。精神的な問題だけが原因とは限らないためです。
相談するときは、涙が出る状況を記録する
医療機関や相談窓口を利用するときは、涙が出た場面を簡単に記録しておくと説明しやすくなります。たとえば、「仕事で注意されたとき」「睡眠不足の日」「特に理由がないのに朝から泣いてしまった」など、状況を短く書き留めるだけでも役立ちます。
涙が出た時刻、直前の出来事、睡眠時間、気分、生活への影響などを振り返ることで、特定の場面に反応しているのか、心身の不調が続いているのかを整理しやすくなります。
つらさが強いときは、記録を完璧につけようとする必要はありません。まずは信頼できる人に話す、かかりつけ医や心療内科・精神科に相談するなど、自分が利用しやすい方法を選びましょう。
【涙もろい性格の改善方法】自分でできる対処法と周囲の接し方
涙もろさを改善したいと考えている人に必要なのは、感情をなくすことではありません。泣きたくない場面で気持ちを整え、伝えたいことを伝えられるようにすることです。自分に合う方法を少しずつ試してみましょう。
対処法1.涙が出る前のサインに気づく
涙が出る直前には、喉が詰まる感じがする、呼吸が浅くなる、胸が苦しくなる、声が震えるなどの変化が現れることがあります。自分にどのようなサインが出やすいかを知っておくと、早めに対処できます。
たとえば、上司に注意されたときに泣きやすい人は、指摘の内容だけでなく「否定されたくない」「期待に応えられなかった」といった気持ちが動いていないかを振り返ります。涙が出る仕組みを理解することが、対処の第一歩です。
対処法2.呼吸をゆっくり整え、身体の緊張を緩める
泣きそうになったときは、無理に涙を止めようとするより、まず身体の緊張を和らげましょう。足の裏を床につけ、肩や顎の力を抜き、無理のない範囲でゆっくり息を吐きます。必要なら水を一口飲み、話す速度を落としてください。
その場で話を続けるのが難しい場合は、「少し整理してからお話ししてもいいですか」「少しだけ時間をください」と伝えて、一度休憩する方法もあります。
呼吸法は涙を必ず止める方法ではありません。目的は、気持ちが高ぶった状態から少し距離を取り、自分が何を伝えたいのかを考えられる余裕をつくることです。
対処法3.感情と事実を分けて整理する
厳しい指摘を受けたとき、「自分は何もできない」と感じて涙が出ることがあります。しかし、実際に指摘されたのは仕事の一部分であって、自分のすべてを否定されたわけではないかもしれません。
そんなときは、次の3点を分けて考えてみてください。
- 事実:相手から具体的に何を言われたのか。
- 感情:悔しい、悲しい、怖い、恥ずかしいなど、何を感じたのか。
- 対応:確認したいことや、次にできることは何か。
この整理を習慣にすると、感情を否定せずに、必要な行動へとつなげやすくなります。涙が出たこと自体を反省するのではなく、状況を改善する方法を考えるのがポイントです。
対処法4.睡眠と休息を優先し、ストレスをため込まない
疲労がたまると、普段なら受け流せる言葉が気になったり、小さな出来事で感情があふれたりすることがあります。睡眠時間を確保する、食事を抜かない、休憩を取る、仕事から離れる時間をつくるなど、基本的な生活習慣を見直してみましょう。
また、悩みをひとりで抱え続けると、気持ちを整理する余裕がなくなることもあります。信頼できる人に話す、紙に書き出す、必要に応じて専門家に相談するなど、負担を分散する方法も考えてください。
対処法5.職場や学校では、話し方を事前に準備する
人前で泣くことが仕事や学校での悩みになっている場合は、重要な話をする前に伝えたい内容を箇条書きにしておくと役立ちます。緊張しても、メモを見ながら要点を伝えられるからです。
また、「感情的になりやすいので、少し考えてから回答します」といった言い方を用意しておけば、涙が出そうになったときも話を中断しやすくなります。必要に応じて、面談の目的や確認したい事項を事前に共有するのも一つの方法です。
大切なのは、泣かないことを絶対的な目標にしないことです。涙が出たとしても、落ち着いて話を再開できれば、伝えるべき内容を伝えることはできます。
涙もろい人との接し方で大切なこと
身近な人がすぐ泣いてしまう場合、周囲はどう接すればよいのでしょうか。まず避けたいのは、「そんなことで泣かないで」「泣けば済むと思っているの?」といった決めつけです。本人の感情を否定すると、さらに緊張させてしまう可能性があります。
相手が泣いているときは、落ち着いて話せる時間を確保し、「少し休憩しますか」「今は話を聞いてほしいですか、それとも一緒に解決策を考えたいですか」と確認するとよいでしょう。ティッシュや水を渡すなど、本人が受け入れやすい支援も役立ちます。
ただし、相手の涙を見たからといって、必ずしもすべての要求を受け入れる必要はありません。仕事上の課題や人間関係の問題については、感情への配慮と、話し合うべき内容を分けて考えます。
涙が出ていることを理由に、その人の説明を無視したり、逆に必要な指摘を一切できなくなったりする必要はありません。相手の気持ちを尊重しながら、落ち着いて話せる方法を一緒に探すことが大切です。
【涙もろい人】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:涙もろい人は、性格が優しくて共感力が高いのでしょうか?
A1:他人の感情に共感しやすいことが涙につながる場合はありますが、涙もろさだけで優しさや共感力の高さを判断することはできません。感動しやすい人、緊張すると泣く人、ストレスがたまると涙が出る人など、背景はさまざまです。相手への接し方や日頃の行動も含めて考えましょう。
Q2:大人なのにすぐ泣くのは、精神的に弱いからですか?
A2:すぐ泣くこと自体は、精神的な弱さの証拠ではありません。涙は悲しみだけでなく、悔しさ、喜び、緊張、安堵などでも生じます。人前で泣くことに困っている場合は、呼吸を整える、話す内容を準備する、休憩を申し出るといった方法を試してみてください。
Q3:涙もろい性格は改善できますか?
A3:涙が出る頻度やタイミングを完全に思いどおりにするのは難しい場合がありますが、泣きそうなときの対処法を身につけることは可能です。涙が出る状況を振り返り、睡眠や休息を確保し、感情と事実を分けて整理する方法を試しましょう。急に涙が増えた場合や、気分の落ち込みなどが長く続く場合は、専門家への相談も検討してください。
まとめ:【プロの結論】涙もろさは否定するのではなく、理解して付き合う
涙もろい人には、映画や音楽に感動しやすい、人の言葉を深く受け止める、他人の喜びや悲しみに反応するといった傾向が見られることがあります。しかし、涙の理由は一つではなく、感受性や共感、過去の経験、ストレス、疲労、状況に応じた感情調整など、さまざまな要因が関係します。
2026年に公表された宇都宮大学の研究も、泣くかどうかだけでなく、誰の前で、どのような状況で泣くかという視点の大切さを示しています。涙もろい人の心理を理解するには、表面的な反応だけで性格を決めつけないことが欠かせません。
涙もろさには、人の気持ちに寄り添える、感動を深く味わえるといった長所がある一方、人前で話しにくい、他人の悩みを抱え込む、自分を責めてしまうといった困りごともあります。長所と短所は、置かれた環境や本人の対処方法によっても変わります。
涙もろさと上手に付き合うための判断基準は、泣く回数ではなく、本人が困っているか、生活に支障が出ているか、以前と比べて大きな変化があるかという点です。感情を無理に押し殺すのではなく、涙が出る理由を知り、必要な場面で落ち着いて気持ちを伝える方法を身につけていきましょう。
もし涙が急に増え、気分の落ち込みや睡眠の変化などが続いているなら、性格の問題だと決めつけず、心身のサインとして受け止めることも大切です。自分の感情を理解し、必要なときには周囲の力を借りることが、涙もろさと無理なく付き合うための第一歩になります。 (出典: 涙 もろい 人(Yahoo!ニュース))