「認知症になりやすい血液型はあるのか」「A型・B型・O型・AB型では、どの血液型が認知症のリスクが高いのか」。家族の将来や自分自身の健康を考えたとき、気になる疑問の一つです。2026年現在、血液型と認知症の関係を調べた海外の大規模研究では、AB型と認知機能低下の関連を示す報告がある一方、スウェーデンとデンマークの大規模研究では、ABO血液型と認知症発症リスクに明確な関連は認められませんでした。
さらに、2024年に公表されたUKバイオバンクの研究では、一般的な血液型の区分だけでなく、ABO遺伝子型とAPOE ε4遺伝子の組み合わせ、性別によって結果が異なる可能性が示されています。2026年7月には世界保健機関(WHO)が認知機能低下と認知症のリスク低減に関する新たなガイドラインを公表しました。血液型だけで将来を判断するのではなく、研究結果の違いと、日常生活で対策できる危険因子を分けて考えることが大切です。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:2026年現在、特定の血液型が認知症になりやすいと一律に断定できる科学的根拠はありません。
- 要点2:2014年の米国研究ではAB型と認知機能低下の関連が報告されましたが、2015年の北欧研究ではアルツハイマー型認知症や血管性認知症との明確な関連は確認されませんでした。
- 要点3:2024年のUKバイオバンク研究では特定のABO遺伝子型と認知症リスクの関連が示されましたが、対象者の背景や遺伝子型によって結果が異なります。
- 要点4:血圧、血糖値、コレステロール、運動不足、難聴、社会的孤立など、対策可能な危険因子への取り組みが重要です。
【結論】認知症になりやすい血液型はある?2026年最新の研究結果
最初に結論を示すと、A型・B型・O型・AB型のうち、どれか一つを「認知症になりやすい血液型」として確定することはできません。
血液型と認知症の関係については、研究によって結果が一致していません。AB型と認知機能低下の関連を示した米国の研究がある一方、スウェーデンとデンマークの献血者を対象にした大規模研究では、アルツハイマー型認知症や血管性認知症などの発症リスクに、ABO血液型による明確な差は認められませんでした。
2024年のUKバイオバンク研究では、ABO遺伝子型のうちBB型と認知症リスクの関連が報告されました。ただし、これは一般的な血液型のB型全体が危険だと証明したものではありません。遺伝子型の違いや性別、APOE ε4の保有状況によって関連が変わる点に注意が必要です。
つまり、研究で何らかの統計的な関連が見つかったことと、特定の血液型の人が実際に認知症を発症しやすいと確定することは別の話です。血液型だけで発症の有無や将来のリスクを予測することはできません。
【A型・B型・O型・AB型を比較】血液型別認知症リスクの実態
血液型別の認知症リスクを理解するには、各血液型について何が分かっていて、何が分かっていないのかを整理する必要があります。
以下は、北欧の大規模研究、米国の認知機能研究、UKバイオバンクの遺伝子研究を比較したものです。研究対象や調べた結果が異なるため、単純なランキングとして読むのではなく、証拠の範囲を確認してください。
| 血液型・遺伝子型 | 研究で示された結果 | 2026年時点の評価 |
|---|---|---|
| A型(AA・AO) | 北欧研究では認知症全体の明確な増加は確認されず。UKバイオバンク研究では、特定の男性・APOE ε4保有者の条件下でAA型とリスク上昇の関連が報告された。 | A型全体が認知症になりやすいとはいえない。 |
| B型(BB・BO) | UKバイオバンク研究ではBB型と認知症全体のリスク上昇に関連が認められた。一方、BO型では同様の明確な関連は確認されなかった。 | B型全体のリスク上昇を意味するわけではない。 |
| O型(OO) | UKバイオバンク研究では遺伝子型OOが比較の基準として用いられた。北欧研究でも、ほかの血液型との明確な発症リスク差は認められなかった。 | O型なら認知症にならない、ということではない。 |
| AB型(AB) | 2014年の米国研究では認知機能低下との関連が報告された。2024年のUKバイオバンク研究では、男性のアルツハイマー型認知症との関連が示された。 | 一部の研究で関連があるが、AB型全体の発症リスクが高いとは確定していない。 |
この比較で特に重要なのは、一般的な血液型の区分と遺伝子型の区分は同じではないという点です。例えば、一般的なB型にはBB型とBO型が含まれます。遺伝子研究でBB型に関連が見られたとしても、その結果をB型の人全員に当てはめることはできません。
また、研究で報告されたリスク比やハザード比は、特定の集団における統計的な比較です。個人の発症確率をそのまま示す数値ではなく、年齢や健康状態、遺伝的背景などによっても解釈が変わります。
【国内外の研究を検証】AB型の記憶力低下と北欧・UKバイオバンクの違い
血液型と認知症の真相を理解するには、研究結果が食い違う理由を確認することが欠かせません。代表的な研究を年代順に見ていきます。
2014年:米国のREGARDS研究
米国の研究チームは、脳卒中や認知機能に関する大規模研究REGARDSの参加者を分析し、血液型と認知機能低下の関連を調べました。対象は認知機能低下が確認された495人と、比較対象の587人です。平均追跡期間は3.4年でした。
その結果、AB型の人は、ほかの血液型の人と比較して認知機能低下のオッズが1.82倍でした。95%信頼区間は1.15〜2.90です。この研究では、血液凝固に関係する第VIII因子(ファクターVIII)についても、認知機能低下との関連が報告されました。
ただし、調べたのは認知症の確定診断そのものではなく、認知機能低下です。認知機能が低下した人が全員、将来認知症になるわけではありません。したがって、この結果を「AB型は認知症になりやすい」と言い換えるのは正確ではありません。
2015年:スウェーデン・デンマークの大規模研究
医学誌「PLOS ONE」に掲載されたスカンジナビア大規模研究では、1968年以降のスウェーデンと1981年以降のデンマークの献血者データを活用しました。対象は159万8,294人で、観察期間は合計2,400万年以上の人年に及びます。
研究期間中に確認されたのは、アルツハイマー病3,615例、血管性認知症1,842例、病型が特定されていない認知症9,091例でした。分析の結果、ABO血液型とこれらの認知症の発症リスクとの間に、全体として明確な関連は認められませんでした。
70歳以上に限定した分析では、O型と比べてA型の認知症全体の発症率比が0.93(95%信頼区間0.88〜0.98)となり、わずかな低下が示されました。ただし、この限定的な結果をもってA型が認知症を予防する、あるいはO型のリスクが高いと断定することはできません。
2024年:UKバイオバンクのABO遺伝子型研究
2024年5月に「Frontiers in Neurology」に掲載された研究では、UKバイオバンクの487,425人を対象に、ABO遺伝子型と認知症の関係が調べられました。追跡期間は合計約3,400万人年で、認知症全体の発症は7,548例でした。
O型に相当するOO型を基準とした分析では、BB型の人は認知症全体のハザード比が1.36(95%信頼区間1.03〜1.80)でした。さらに男女別の分析では、男性のBB型に認知症全体のリスク上昇との関連が認められました。男性のAB型では、アルツハイマー型認知症との関連も報告されています。
一方、この研究には、BB型の対象者が2,789人と比較的少なかったこと、認知症の診断記録に取りこぼしがあり得ること、参加者の大部分が欧州系であることなどの限界があります。日本人を含む異なる集団でも同じ結果になるかは、追加研究が必要です。
このように、米国研究では認知機能低下、北欧研究では認知症の発症、UKバイオバンク研究ではABO遺伝子型と認知症の関係を調べています。対象や評価項目が違うため、結果を一つのランキングにまとめることはできません。
【血液型と認知症の関係に理由はある?】ABO遺伝子型と血管の働き
血液型と認知症の関係が研究されている理由の一つは、ABO血液型が赤血球の表面だけでなく、血液凝固や血管の働きにも関係するためです。
ABO遺伝子は、A型・B型・O型などの血液型を決める仕組みに関わっています。また、ABO血液型と血液凝固に関係する第VIII因子やフォン・ヴィレブランド因子などとの関連も知られています。これらの因子は血栓形成や血管の状態と関係するため、脳血管の健康を介して認知機能に影響する可能性が研究されています。
ただし、血液型と血液凝固の関連があることと、血液型が認知症を引き起こすことは同義ではありません。血管の状態は、血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙など、さまざまな要因の影響を受けます。
アルツハイマー型認知症と血管性認知症も区別する必要があります。
アルツハイマー型認知症は、脳内に生じる病理変化などが関係する認知症です。一方、血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などによる脳の血管障害が原因となります。両者の特徴が重なる混合型もあります。
血管の健康と認知症には関連があるため、ABO血液型の研究でも血管を介した仕組みが検討されています。しかし、2015年の北欧研究では、アルツハイマー型認知症にも血管性認知症にも、ABO血液型による明確なリスク差は確認されませんでした。血液型だけを根拠に、特定の認知症の発症を予測することはできません。
UKバイオバンク研究では、BB型と認知症全体の関連の一部に心血管疾患が関係している可能性も示されました。それでも、遺伝子型がどのような経路で認知症リスクに影響するのか、因果関係を確定するには、さらに研究を積み重ねる必要があります。
【APOE ε4遺伝子と認知症リスク】血液型より注目すべき要因とは
認知症の遺伝的リスクを考える際、血液型と合わせて話題になるのがAPOE ε4遺伝子です。APOEは脂質の運搬などに関係する遺伝子で、そのε4型はアルツハイマー病の発症リスク上昇と関連しています。
米国国立老化研究所(NIA)の解説によると、APOE ε4を1つ持つ人は持たない人よりアルツハイマー病のリスクが高く、2つ持つ人ではさらに高くなる傾向があります。ただし、ε4を持っていても発症しない人はおり、持っていなくても発症する人はいます。遺伝子型だけで発症の有無を決めることはできません。
2024年のUKバイオバンク研究では、ABO遺伝子型とAPOE ε4の保有状況を組み合わせた分析も行われました。男性でAPOE ε4を2つ持つ人のうち、BB型では認知症全体のハザード比が4.29(95%信頼区間1.57〜11.72)と報告されています。
ただし、この数値は特定の遺伝子型を持つ男性集団についての結果であり、一般的なB型の人の発症確率を表したものではありません。信頼区間も広く、対象集団の特性や研究上の限界を踏まえて解釈する必要があります。
また、APOE ε4の遺伝子検査を受ければ、将来自分が認知症になるかどうかを確実に判断できるわけではありません。遺伝情報には本人や血縁者の心理的・プライバシー上の問題も伴います。検査を検討する場合は、結果の意味や限界について医師や遺伝カウンセリングの専門家に相談することが望まれます。
血液型や遺伝子型は、研究上のリスク要因の一つとして扱われています。しかし、実際の認知症リスクを考えるうえでは、年齢、生活習慣、持病、聴力や視力、社会的なつながりなども合わせて評価する必要があります。
【2026年最新】認知症の危険因子と今日から始めたい予防習慣
認知症の予防を考えるうえで、2026年に押さえておきたいのが、世界保健機関(WHO)が7月15日に公表した認知機能低下と認知症のリスク低減に関する第2版ガイドラインです。WHOは、生活習慣や健康状態、環境要因に対する取り組みによって、認知症の発症を遅らせたりリスクを低減したりできる可能性を示しています。
また、医学誌「The Lancet」の認知症に関する常設委員会が2024年に公表した報告では、対策可能な14の危険因子を改善することで、世界の認知症の約45%に予防または発症遅延の余地があると推計されました。これは個人が予防を実践すれば発症を確実に防げるという意味ではなく、集団全体での推計です。
注目すべき14の危険因子
- 教育機会の不足
- 難聴
- 高血圧
- 喫煙
- 肥満
- うつ病
- 運動不足
- 糖尿病
- 過度の飲酒
- 頭部外傷
- 大気汚染
- 社会的孤立
- LDLコレステロールの高値
- 未治療の視力障害
これらの危険因子は、血液型と異なり、医療や日常生活で対策を講じられるものが多く含まれています。予防を考えるなら、血液型の順位を気にするより、実際に改善できる項目を一つずつ確認する方が現実的です。
1.血圧・血糖値・コレステロールを管理する
高血圧、糖尿病、脂質異常症は、脳や血管の健康に影響します。健康診断の数値を確認し、異常があれば医療機関に相談しましょう。治療中の人は、自己判断で薬を中断せず、医師の指示に従って管理を続けることが大切です。
2.無理なく身体を動かす
散歩や自転車、水中運動など、体力や持病に合わせた運動を習慣にしましょう。運動は血圧や血糖値、体重の管理にも役立ちます。体調や身体機能に不安がある場合は、無理に運動量を増やさず、医療従事者に適切な方法を相談してください。
3.耳と目の健康を放置しない
聞こえにくさや視力低下があると、人との会話や外出が減る原因になります。難聴が気になる場合は聴力検査を受け、必要に応じて補聴器などを検討しましょう。視力についても、定期的な検査や適切な治療を心がけてください。
4.人との交流や知的な活動を続ける
家族や友人との会話、地域活動、趣味、読書、学習など、自分が楽しめる活動を継続しましょう。WHOの2026年ガイドラインでも、認知機能が正常な成人や軽度認知障害のある人に対して、認知的な刺激や社会活動への参加がリスク低減策として取り上げられています。
5.食事・喫煙・飲酒を見直す
野菜や果物、豆類、魚などを取り入れたバランスのよい食事を心がけ、喫煙を避け、飲酒量を減らしましょう。WHOは、診断された欠乏症がない場合、ビタミンB・E、オメガ3脂肪酸、マルチビタミンなどのサプリメントを認知症予防の目的で一律に使用することを推奨していません。サプリメントに頼るよりも、健康状態に応じた生活習慣の改善や必要な医療を優先しましょう。
なお、物忘れが日常生活に支障を来すようになった場合や、以前できていたことが難しくなった場合には、年齢や血液型のせいだと決めつけず、医療機関に相談してください。早めに原因を調べることで、適切な支援や治療につながることがあります。
【プロの結論】血液型で不安になる前に知っておきたい判断基準
認知症なりやすい血液型というテーマで、最も注意したいのは、限定的な研究結果が、いつの間にか誰にでも当てはまる医学的事実として広まってしまうことです。
研究を読み解く際は、次の3点を確認してください。
第一に、何を調べた研究なのか。認知機能低下を調べた研究と、医療記録などで認知症の発症を調べた研究では、評価している結果が異なります。前者の関連を、そのまま認知症の発症リスクに置き換えることはできません。
第二に、対象者は誰なのか。性別、年齢、遺伝子型、出身集団などによって結果が異なる可能性があります。海外の研究で得られた数値を、日本人一人ひとりのリスクとしてそのまま適用することはできません。
第三に、ほかの研究でも再現されているのか。一つの研究で関連が見つかっても、別の研究で同じ結果が得られなければ、因果関係が確立したとはいえません。対象者数が多い研究であっても、研究設計や対象者の偏り、診断記録の精度などを確認する必要があります。
2026年時点の知見からは、ABO血液型や遺伝子型が認知症リスクの研究対象になっていることは確かです。しかし、血液型だけで発症を予測する方法は確立されていません。自分や家族の血液型を理由に必要以上に心配する必要はなく、健康診断、持病の管理、運動、聴力・視力のケア、人との交流など、対策可能な項目に目を向けることが大切です。
【認知症なりやすい血液型】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:認知症になりやすい血液型は、結局どれですか?
A1:2026年時点では、A型・B型・O型・AB型のうち、特定の血液型が一律に認知症になりやすいと断定することはできません。AB型と認知機能低下の関連や、特定のABO遺伝子型と認知症リスクの関連を示す研究はありますが、結果は研究によって異なります。
Q2:AB型はアルツハイマー型認知症になりやすいのでしょうか?
A2:2014年の米国研究では、AB型と認知機能低下の関連が報告されました。2024年のUKバイオバンク研究でも、男性のAB型に相当する遺伝子型とアルツハイマー型認知症との関連が示されました。ただし、AB型の人全体の発症リスクが高いと確定したわけではありません。
Q3:B型は認知症のリスクが高いという情報は本当ですか?
A3:2024年のUKバイオバンク研究では、B型に関連する遺伝子型のうちBB型で、認知症全体のリスク上昇との関連が認められました。しかし、一般的なB型にはBB型とBO型があり、研究結果をB型の人全員に当てはめることはできません。
Q4:O型なら認知症になりにくいのでしょうか?
A4:O型であれば認知症を発症しにくい、あるいは発症しないとする科学的根拠はありません。O型が研究の比較基準に使われていても、それは認知症を防ぐ血液型だという意味ではありません。
Q5:APOE ε4の遺伝子検査を受けた方がよいですか?
A5:APOE ε4はアルツハイマー病のリスクに関係しますが、検査結果だけで将来の発症を確定することはできません。遺伝情報の解釈には専門的な知識が必要なため、検査を希望する場合は、医師や遺伝カウンセリングの専門家に相談しましょう。
Q6:認知症を予防するために、まず何をすればよいですか?
A6:血圧・血糖値・コレステロールの管理、適度な運動、バランスのよい食事、禁煙、飲酒量の見直し、難聴や視力障害への対応、人との交流などから始めましょう。持病がある場合は、自己判断で治療を変更せず、医療機関で適切な管理を受けることが大切です。
まとめ:血液型にとらわれず、科学的根拠に基づいた認知症予防を
認知症になりやすい血液型について、海外の主要研究を比較すると、AB型と認知機能低下の関連や、UKバイオバンク研究における特定のABO遺伝子型と認知症リスクの関連が報告されています。一方、約160万人を対象とした北欧研究では、アルツハイマー型認知症や血管性認知症などとABO血液型との明確な関連は確認されませんでした。
この違いは、研究対象や評価項目、遺伝子型、性別などによって結果が変わり得ることを示しています。血液型だけで認知症の発症リスクを判断することはできず、A型・B型・O型・AB型を単純に順位づけすることにも限界があります。
2026年の認知症予防で重視したいのは、血液型の違いよりも、血圧や糖尿病、コレステロール、運動不足、難聴、視力障害、社会的孤立など、改善できる可能性のある危険因子への対応です。認知症を必ず防げる方法はありませんが、日々の健康管理を積み重ねることは、脳と身体の健康を守るための現実的な取り組みです。
自分の血液型を過度に心配するのではなく、健康診断の結果を確認し、気になる症状があれば早めに相談する。そうした具体的な行動こそが、科学的根拠に基づいて将来の健康を考えるための出発点になります。 (出典: 認知 症 なり やすい 血液 型(Yahoo!ニュース))