レキサルティを飲み始めてから体重が増えた、食欲が以前より強くなった、これ以上太るのが不安――。そんな悩みを抱えている方に知っておいてほしいのは、レキサルティには体重増加の副作用が報告されている一方、すべての人に起こるわけではないという事実です。
レキサルティ(一般名:ブレクスピプラゾール)は、統合失調症や、既存の抗うつ薬で十分な効果が得られないうつ病・うつ状態などに使用される薬です。PMDA(医薬品医療機器総合機構)の電子添文や国内臨床試験では、体重増加だけでなく、アカシジア、傾眠、食欲亢進なども報告されています。体重が増える頻度は治療対象や試験条件によって異なり、薬の影響だけで原因を断定できない場合もあります。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 体重増加は実際に報告されている:国内のうつ病・うつ状態を対象とした6週間の試験では、体重増加の副作用は1mg群で5.6%、2mg群で6.5%でした。
- 太るタイミングや程度には個人差がある:食欲の変化、活動量、併用薬、病状の変化なども体重に影響するため、薬だけが原因とは限りません。
- 自己判断で中止しないことが大切:体重の記録や食生活の見直しを行い、増加が続く場合は主治医に相談して、必要に応じて検査や治療方針の見直しを検討します。
【レキサルティの副作用で太る?】体重増加の真相を解説
結論からいうと、レキサルティの副作用で体重が増えることはあります。医療用医薬品の電子添文にも体重増加が記載されており、体重の推移を注意深く観察するよう求められています。
ただし、「レキサルティを服用すると必ず太る」「飲み始めた人は全員体重が増える」という理解は正確ではありません。臨床試験で報告された頻度は、対象となった患者や投与期間によって違います。また、副作用として体重増加が報告されたことと、すべての服用者に大幅な体重増加が起こることは別の話です。
体重増加を考える際には、少なくとも次の3点を分けて考える必要があります。
- 薬の副作用:レキサルティの服用に伴う体重増加や食欲の変化。
- 生活習慣の変化:食事量、間食、睡眠、日常の活動量などの変化。
- ほかの要因:併用している抗うつ薬などの影響、病状の変化、糖代謝や内分泌の異常など。
複数の要因が重なることもあります。服用を始めた時期と体重が増え始めた時期が一致していても、それだけで原因を確定することはできません。一方、服用後に体重が明らかに増えているなら、薬との関連を確認するために医師へ伝える価値があります。
大切なのは、体重増加の可能性を過度に恐れて必要な治療を中断することでも、反対に副作用を我慢し続けることでもありません。体重の変化を把握し、治療の効果と副作用を一緒に評価することが基本です。
【国内臨床試験のデータ】体重増加は何%?添付文書の数字を比較
レキサルティの体重増加の頻度を確認するうえで重要なのが、PMDA掲載の電子添文に記載された国内臨床試験の結果です。統合失調症を対象とした長期投与試験と、うつ病・うつ状態の追加療法を対象とした試験では、試験期間や対象患者が異なります。
代表的な数値を整理すると、次のようになります。
| 試験・対象 | 投与条件・期間 | 体重増加の報告 | 読み取る際の注意点 |
|---|---|---|---|
| 統合失調症の国内長期投与試験 | 281例、52週間。試験では1~4mgを使用 | 14例、5.0% | 長期投与試験の結果であり、承認用量は1日1mgから開始し、通常2mgです。 |
| うつ病・うつ状態の国内第II/III相試験 | 1mg群、6週間 | 250例中14例、5.6% | 抗うつ薬との併用下で実施された試験です。 |
| うつ病・うつ状態の国内第II/III相試験 | 2mg群、6週間 | 246例中16例、6.5% | 1mg群と比べて数値は高いものの、この差だけで個人の体重増加を予測することはできません。 |
| うつ病・うつ状態の国内第II/III相試験におけるアカシジア | 1mg群・2mg群、6週間 | 1mg群6.0%、2mg群23.6% | 体重増加とは別の副作用です。2mg群で発現割合が高い傾向が示されました。 |
出典はPMDA掲載のレキサルティ電子添文に記載された国内臨床試験成績です。体重増加の数値は、試験で副作用として報告された割合を示しています。一定の体重増加幅を超えた人の割合や、服用者全体に共通する発症率を示すものではありません。
うつ病・うつ状態の試験では、体重増加の報告は1mg群で5.6%、2mg群で6.5%でした。数字だけを見ると2mg群のほうが高いものの、両群の差は0.9ポイントです。この結果だけから、用量を2倍にすると体重増加も2倍になる、あるいは2mgを飲めば必ず太りやすくなる、と結論づけることはできません。
一方、アカシジアは1mg群6.0%、2mg群23.6%と、試験では明確な差が見られました。副作用の種類によって用量との関係が異なるため、体重増加とほかの副作用をひとまとめにして評価しないことが重要です。
また、これらは臨床試験で得られた数値です。実際の診療では、患者の年齢、体質、既往歴、併用薬、服用期間などが異なるため、試験の割合をそのまま自分の将来の体重変化に当てはめることはできません。
【なぜ太るのか】体重増加の理由と、いつから変化するのか
レキサルティによる体重増加の理由を考えるとき、まず押さえたいのが食欲の変化です。医薬品の電子添文には、体重増加に加えて食欲亢進も副作用として記載されています。食欲が増して食事量や間食が増えれば、結果として体重が増える可能性があります。
ただし、食欲亢進がすべての体重増加を説明するわけではありません。体重には、摂取エネルギー、活動量、睡眠、身体の代謝状態、併用薬など、さまざまな要素が関係します。レキサルティの服用中に体重が増えた場合も、原因は一つとは限りません。
レキサルティの有効成分であるブレクスピプラゾールは、ドパミンD2受容体やセロトニン5-HT1A受容体などに作用する薬です。これらの神経伝達系への作用と、実際の体重変化を個々の患者について単純に結びつけることはできません。「特定の作用があるから必ず太る」といった説明には注意が必要です。
体重増加はいつから始まるのでしょうか。 服用開始後の何日目、何週間目に必ず起こるという一律の時期は示されていません。国内のうつ病・うつ状態を対象とした試験は6週間、統合失調症の長期投与試験は52週間で実施されていますが、試験期間は体重増加が始まる時期を意味するものではありません。
そのため、服用を始めた直後だけでなく、数週間から数か月にわたる体重の推移を把握することが役立ちます。増量や併用薬の変更があった場合も、その前後で体重や食欲がどう変化したかを記録しておくと、診察時に状況を説明しやすくなります。
なお、体重増加がなくても、食欲の変化やほかの副作用が現れる場合はあります。反対に、体重が増えていても、必ずしもレキサルティが原因とは限りません。数字だけで判断せず、変化の時期や程度、ほかの症状を合わせて確認することが大切です。
【体重増加だけではない】アカシジア・傾眠など主な副作用の違い
レキサルティの副作用には、体重増加以外にも注意したい症状があります。特にアカシジアと傾眠は、日常生活への影響が異なるため、それぞれの特徴を知っておくと変化に気づきやすくなります。
アカシジアは、じっとしていられない、座っていると落ち着かない、足を動かしたくなる、歩き回りたくなるといった症状が特徴です。単なる不安や気分の落ち込みと区別しにくいこともありますが、服用開始後や増量後にこうした症状が現れた場合は、主治医に伝えてください。
傾眠は、眠気が強くなる、日中にうとうとする、注意力や集中力が低下するといった症状です。眠気があると活動量が落ちる可能性はありますが、それだけで体重増加の原因と断定することはできません。電子添文では、自動車の運転など危険を伴う機械の操作を避けるよう注意喚起されています。
ほかにも、不眠、頭痛、めまい、振戦などが報告されています。体重増加とアカシジア、傾眠は異なる副作用なので、症状が複数ある場合は、それぞれを分けて医師に説明するとよいでしょう。
もう一つ見逃せないのが、血糖値の上昇です。レキサルティの電子添文には、高血糖や糖尿病の悪化、糖尿病性ケトアシドーシスなどの重大な副作用が記載されています。強い喉の渇き、水を大量に飲む、尿の量や回数が増えるなどの症状がある場合は、単なる体重の問題と考えず、速やかに医療機関へ相談してください。
急激な体重変化に加えて体調の異変がある場合も、自己判断で食事制限だけを強化するのではなく、原因の確認を優先することが重要です。
【レキサルティ1mg・2mgの違い】統合失調症とうつ病の追加療法
レキサルティの用量は、治療する病気や症状、効果、副作用の現れ方などを踏まえて決められます。体重増加が心配だからといって、自分の判断で用量を変更することは避けてください。
統合失調症の場合、成人では通常、1日1回1mgから開始し、4日以上の間隔をあけて増量した後、通常は1日1回2mgを服用します。
うつ病・うつ状態の追加療法の場合は、既存の抗うつ薬による適切な治療を複数回行っても十分な効果が得られない場合などに使用が検討されます。レキサルティは抗うつ薬と併用し、通常は1日1回1mgから開始します。忍容性に問題がなく、効果が十分でない場合に限り、1日2mgへの増量を検討します。
PMDAの電子添文では、うつ病・うつ状態の治療について、1mgと2mgで有効性は同程度であり、2mg群ではアカシジアなどの錐体外路症状の発現割合が高くなる傾向が示されたと説明しています。増量は、体重増加だけでなく、治療効果と副作用の両面から判断する必要があります。
体重増加が気になっている場合は、診察時にそのことを率直に伝えましょう。主治医は、体重の推移、症状の改善度、併用薬、検査結果などを確認し、現在の用量を継続するか、調整するか、ほかの治療を検討するかを判断します。
なお、レキサルティは2024年9月にアルツハイマー型認知症に伴う特定の行動症状への効能も追加されています。治療対象によって用法や安全性の確認事項が異なるため、ここで示した統合失調症とうつ病の用量を、ほかの適応にそのまま当てはめないでください。
【レキサルティの体重増加対策】食事・運動・医師への相談ポイント
体重が増え始めたときは、極端な食事制限や自己判断による減薬をする前に、変化を記録して原因を整理することから始めましょう。無理なく続けられる対策を取り入れながら、必要に応じて医師と治療方針を検討することが現実的です。
1.体重を同じ条件で記録する
体重は、測る時間帯や食事、水分摂取などによっても変わります。できるだけ同じ時間帯、同じような条件で週に1~2回程度測定し、日々の小さな変動よりも数週間単位の傾向を確認しましょう。服用開始日、増量日、体重の変化を一緒に記録しておくと、診察時の判断材料になります。
2.食欲や食事量の変化を把握する
以前より空腹を感じるようになった、間食が増えた、甘い飲み物を飲む機会が増えたなど、変化を具体的に振り返ります。食事を抜くような極端な方法ではなく、食事の量や内容を整え、野菜やたんぱく質を含む食事を意識するなど、継続できる工夫から始めてください。
3.体調に合わせて活動量を確保する
散歩や軽い運動など、無理なくできる活動を生活に取り入れましょう。眠気やめまいがある場合は、転倒や事故につながらないよう注意し、体調に合った方法を医師と相談してください。短期間で大幅に体重を落とそうとする必要はありません。
4.必要に応じて血糖値や脂質を確認する
電子添文では、レキサルティの投与中に体重の推移を注意深く観察し、変動があれば原因を調べ、必要な処置を行うよう求めています。診察では、体重だけでなく、既往歴やリスクに応じて血糖値、脂質などの検査について相談するとよいでしょう。
5.体重増加が続く場合は主治医に相談する
体重が増え続けている、食欲が急に強くなった、服用開始後に生活への支障が出ているといった場合は、次回の診察を待つべきかどうかも含めて医療機関に相談してください。薬の変更や減量が適切かどうかは、病状と副作用の程度を踏まえて判断されます。
相談時には、次の内容を整理しておくと状況が伝わりやすくなります。
- レキサルティを飲み始めた時期と現在の用量
- 服用前と現在の体重、増加した時期と程度
- 食欲、間食、睡眠、活動量の変化
- アカシジア、眠気、めまいなどの症状の有無
- 併用している抗うつ薬やほかの薬、サプリメント
体重増加が気になる場合でも、レキサルティを突然やめたり、処方された用量を自分で変更したりしないでください。治療効果が失われたり、症状が悪化したりするおそれがあるためです。
【レキサルティ副作用太る】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:レキサルティを飲むと必ず太りますか?
A1:必ず太るわけではありません。国内臨床試験では体重増加が副作用として報告されていますが、報告頻度は試験条件によって異なり、個人差もあります。服用中の体重変化を記録し、増加が続く場合は主治医に相談してください。
Q2:レキサルティ1mgと2mgでは、どちらが太りやすいですか?
A2:うつ病・うつ状態を対象とした6週間の国内試験では、体重増加の報告は1mg群で5.6%、2mg群で6.5%でした。ただし、この差だけで用量と体重増加の関係を断定することはできません。用量は治療効果と副作用を踏まえて医師が判断します。
Q3:体重が増えたら、レキサルティをやめてもよいですか?
A3:自己判断で中止しないでください。体重増加の原因を確認し、必要に応じて食生活や活動量を見直すほか、検査や用量の調整、治療方針の変更を医師と検討します。強い喉の渇き、多飲、多尿などがある場合は、高血糖の可能性もあるため、速やかに医療機関へ相談してください。
まとめ:体重増加の数字だけで判断せず、治療効果と副作用を一緒に確認する
レキサルティには体重増加の副作用があり、国内臨床試験でも報告されています。うつ病・うつ状態を対象とした6週間の試験では、体重増加の頻度は1mg群で5.6%、2mg群で6.5%でした。一方、この数字は特定の試験条件で得られた結果であり、服用すれば必ず太ることや、個人の将来の体重変化を示すものではありません。
体重増加の理由には食欲の変化や生活習慣、併用薬、身体の状態などが関係する可能性があります。アカシジアや傾眠といった別の副作用にも注意しながら、体重の推移と体調を記録しておくことが役立ちます。
【プロの結論】 レキサルティによる体重増加が心配なときに優先すべきなのは、薬を自己判断でやめることではなく、体重の変化を客観的に把握し、主治医と共有することです。体重増加が続く場合や、食欲・眠気などの変化で生活に支障が出ている場合は、早めに相談してください。体重だけでなく、血糖値や脂質などの健康状態も含めて確認し、治療効果と副作用のバランスを考えながら、無理のない治療を続けていきましょう。
主な参照資料:医薬品医療機器総合機構(PMDA)掲載「レキサルティ錠1mg/レキサルティ錠2mg 電子添文」、PMDA掲載「レキサルティを適正に使用していただくために(うつ病・うつ状態)」、大塚製薬のレキサルティ患者向け医薬品情報。 (出典: レキサルティ 副作用 太る(Yahoo!ニュース))